COFFEE &BOOK vol.2
「珈琲が呼ぶ」を旅する第2回は112ページに掲載されたボブ・デイランの名曲「One more cup of coffee」(1976年の代表作『欲望』に収録)
「One more cup of coffee」
ボクは当時 イーグルス、ジャクソン・ブラウンと言ったウエストコーストサウンドにかぶれていて、あまりボブ・デイランのことを知らなかった。この曲を知ったのは高校を卒業してコーヒーの旅を始めた80年代になってからだ。
One more cup of coffee for the road,
One more cup of coffee ‘fore I go
To the valley below.
コーヒーをもう一杯
僕が旅立つ前に
コーヒーをもう一杯
下の谷に向かって出ていく前に
女性との暮らしを捨て、家を出る男の覚悟が描かれた歌詞であることは一目瞭然なんだけど、なぜ”谷”なのか?ということが片岡さんのエッセイを読んで初めて理解できた。
「valley 」は「谷・渓谷」という和訳なんだけど、そこはアメリカ、渓谷のサイズが大き過ぎて、日本では決して感じることのできないvalley だとしている。「下に行くと」いう意味も今とは違う場所に行くというだけで大した意味はないらしい。
デイランの活動のスタートはカフェだった
「以前から予定していた約束がある」ことを理由にノーベル賞授賞式を欠席することが発表した。
授与式を欠席してまで守る約束って一体なんだろうと世界中が湧き立った。
ボブ・ディランが「ノーベル文学賞」を受賞したことは片岡さんも想像できなかったんじゃないかな?
我々の歌は生きている人たちの世界でこそ生きるものなのだ。でも歌は文学とは違う。歌は歌われるべきものであり、読むものではない。―ボブ・ディラン
ディランが音楽活動を始めたのは1959年で、カフェでの演奏が出発点だったと読んだことがある。ボブ・ディランの最大のヒット曲は1960年代のものが多い。この時代に「風に吹かれて」などの曲が、ベトナム反戦や公民権運動の象徴となったからだろう。